ブックタイトルMEDICAL STAFF SESSION
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MEDICAL STAFF SESSION
【目的】当院では、肝炎、肝癌、肝硬変治療目的に入院する患者が多く、DPC病院における肝疾患コードにおける入院件数は、東北のみならず、本邦1位となって数年が経過している。中でも肝癌、肝硬変は定期的な検査、治療が行われるため、高額となる治療費が患者の負担となっている。その為、治療中断やより安価な治療への切り替えを希望される患者さんも出現している。「肝がん・重度肝硬変の入院助成」が新設され、その後、要件の見直しが検討されたことは、このような患者にとって福音であると思われた。そこで、当院において「肝がん・重度肝硬変の入院助成」がどのように活用されているかを解析し、問題点を抽出し、改善することを当検討の目的とした。【方法】2018年から2021年11月までに「肝がん・重度肝硬変の入院助成」を利用した患者の推移を検討した。助成を受けていない理由を検討する為、病棟クラーク、医事課、メディカルクラーク、ソーシャルワーカー、看護師、医師に聞き取りを行い、改善策を検討した。【成績】当院の「肝がん・重度肝硬変の入院医療費助成」の実績は2018年度1件、2019年度4件、2020年度10件、2021年度途中で3件である。助成を受ける患者が少ない要因として、医療機関の観点からは、制度開始や変更となった時にインフォメーションが少ないことが挙げられる。患者は医療者からの情報提供により助成制度の存在を知ることが殆どであるが、直接患者と関わる医療者にも十分に周知されていないことが多い。患者の観点からは、所得区分で該当する患者が少ないこと、肝炎ウィルス以外の肝がん、重度肝硬変患者が増加しており、該当しないケースが多くいることが考えられる。またこの助成制度は入院回数により申請するタイミングなども変わってくるため複雑になっていると言える。そこで当院では、多くの患者にこの制度が活用できるように、病棟クラーク、メディカルクラーク、医事課が中心となり、対象者の洗い出しを行い、条件に該当する患者に対して制度の案内や申請手続きに関する書類の作成などを行なった。結果、当院で制度開始から現在に至るまで、18人の患者が制度を活用して安心して治療を受けることができた。【考案】「肝がん・重度肝硬変の入院医療費助成」の活用には、医療者も積極的に介入していく必要があると思われた。また、所得区分の要件を緩和することも一案であると思われた。【結論】多職種の連携のもと、患者さんに適切にアクセスすることで「肝がん・重度肝硬変の入院医療費助成」を受ける患者が増加することが明らかとなった。SP2-P-50当院における肝疾患医療費助成の実態と課題野村恵美子(のむら えみこ),高橋莉那,佐々木奈津子,鈴木はるな,黒沢瑞恵,西巻光,諸沢樹,近藤泰輝仙台厚生病院肝臓内科108