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概要

MEDICAL STAFF SESSION

【目的】肝炎政策における受検・受診・受療のステップを進めるためには、国民に対して肝炎に関する正確かつ重要な情報を効果的に伝える必要がある。現在でも啓発・教育のためのリーフレットや教材が数多く頒布されているものの、特に将来を担う10-20歳代の若い世代にとっては、ウイルス肝炎を「自分ゴト化」することは難しく、浸透力を高める新たなアプローチの開発が必要である。そこで学習者の注意を惹きつけ、記憶の定着率が高い有効な手法とされている教育(Education)と娯楽(Entertainment)を掛け合わせて作られた概念であるエデュテインメント(Edutainment)アプローチを採り入れた啓発ツールに着目した(Nalan Aksakal.2015)。肝炎医療コーディネーターは、啓発活動(市民公開講座、学校での肝炎授業等)や患者・家族支援活動(対面相談、肝臓病教室、出張型検診等)の中で大きな役割を担っている。本研究では、肝炎医療コーディネーターの活動の中で活用でき、学習者や相談者の興味を惹きつけ、理解の深化に有効なエデュテインメント資材を開発することを目的とする。【方法】様々あるエデュテインメント・アプローチの中でも、すごろくや人生ゲームという若年層に対しても親和性の高いボードゲーム方式を採用し、試作を実施した。ゲームの主題を「肝臓の健康を守ること」と設定し、肝臓の健康を脅かす多様なイベント(肝炎ウイルス感染リスクや脂肪肝につながる生活習慣等)を網羅的にプレイヤーとして追体験できるよう構造化し、肝炎ウイルス検査を受けることがゲームを優勢に進める上で有効となるよう考慮した。更にクイズマスを設けることで、必要情報の網羅性の担保やプレイヤーの年齢層毎に最適化された仕組みの導入を試みた。【成績】肝炎医療コーディネーターの指導の下、「肝炎すごろく」を制作した。本すごろくを任意の協力者にプレイしてもらったところ、狙い通りに「肝臓の健康を守る」ための適切な選択を繰り返すことでゲームを優位に進めることができることが確認された。そのことにより、本すごろくプレイを通じて、「肝臓を健康に保つために必要な行動」、「肝炎ウイルス受検の必要性」、「肝炎医療コーディネーターの役割の認知」などの必要学習項目の習得が可能なことが示唆された。【考案・結語】今後は、本すごろくを通した啓発内容の浸透度を評価するために、教材を用いた遊び前後で実施する簡易テストの開発やホームユーステストなどにより学習効果を検証する予定である。SP2-P-7肝炎医療コーディネーターの活動を支援するエデュテイメント資材としてのボードゲームの開発西井正造(にしい しょうぞう)1,藤森晶子1, 杏歩2,中沢大1,小高明日香1,武部貴則1,考藤達哉31横浜市立大学先端医科学研究センターコミュニケーション・デザイン・センター,2横浜市立大学医学部医学科,3国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター肝炎情報センター022