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概要

MEDICAL STAFF SESSION

【背景】非アルコール性脂肪性肝疾患(以下、NAFLD)は肥満や生活習慣の乱れが背景にあり、高頻度に糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を合併する。またC型慢性肝疾患SVR後においても、加齢や飲酒、糖尿病などの要因は肝発癌リスクに関連する。肝疾患全般において、サルコペニアは日常生活動作や生活の質だけでなく肝発癌や予後にも関わる。NAFLDのマネジメントは生活習慣病の管理と肝線維化の進展に即応した継続的なフォローが重要であることから、当院肝疾患センターでは行政や関連病院、メディアと連携して医師、看護師、肝炎医療コーディネーター(以下、肝Co)にて予防、受検、精査、受療、フォローアップを行ってきたが、すべてのシチュエーションで管理栄養士(以下、栄養士)が参画する意義が高まっており、2021年5月に栄養士1名を増員した。今回、地域全体での栄養サポートを目的に、佐賀の食材を用いた肝臓病料理レシピの提案、薬局の肝Co栄養士育成のための取り組みに着手したので紹介する。【活動内容】①ミシマサイコの根は肝機能改善に効果がある生薬として知られている。佐賀県玄海町ではミシマサイコを使ったお茶の長期摂取による肝機能改善効果の検証を予定している。当院ではNAFLD患者を対象にミシマサイコ茶の嗜好調査を開始した。また、オレイン酸はLDLコレステロール低減作用があるとされている。本学農学部開発の高オレイン酸大豆(佐大H01号)を活用した健康に良いレシピを作成して地元テレビにて放映予定である。高オレイン酸大豆おからを使用した脂肪肝のためのスイーツを地元新聞にて紹介した。地域の食材を用いた活動は、肝疾患啓発にも寄与すると考えられる。①NAFLDに対する特定保健指導や地域での栄養相談に対応できる人材育成を目的に、門前薬局の肝Co取得予定の栄養士・薬剤師を対象に、当センター医師と共に症例勉強会を開催、関連病院医師の協力の下で栄養士OJT研修を開始した。第1回勉強会参加者12名のアンケート調査結果は概ね好評で、「飲酒が原因ではない脂肪肝が多いと解った」「肝硬変や肝がんに進む前に生活習慣の改善面で栄養士が関われることが解った」という意見が、OJT研修後の栄養士からは「学んだことを薬局の栄養相談に導入したい」「肝臓の栄養療法についてもっと学ぶ必要がある」という前向きな発言があった。【まとめ】肝疾患対策において食事療法は不可欠であり栄養士の役割は大きい。今後も本取り組みを継続し、肝Co・栄養士のスキルアップを含めた地域全体での栄養サポートを目指していく。SP2-P-22非アルコール性脂肪性肝疾患に対する地域全体での栄養サポートを目指した取り組み原なぎさ(はら なぎさ)1,矢田ともみ1,井上香2,大枝敏1,磯田広史1,江口有一郎3,高橋宏和11佐賀大学医学部附属病院肝疾患センター,2佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科,3ロコメディカル総合研究所052