ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

MEDICAL STAFF SESSION

【背景・目的】厚労省は肝炎対策基本指針で「肝炎の早期発見・早期治療によって肝硬変・肝がんへの移行者を減らすこと」とし、当県では肝炎医療コーディネーター研修会、セミナー等で啓発がなされ、受検・受診・受療を促している。その中で当院では自治体病院として地域における肝疾患診療を担い、2018年9月から肝炎ウイルス陽性者の結果説明・受診・受療へ導くフローを作成し3年が経過した。病院受診時(救急外来・入院時・手術時等)の受検で陽性の場合、受診・受療へのアプローチは定着してきた。一方で当健診センターでは肝炎ウイルス受検者が少なく、背景を検索した結果、職域での検査が実施されていない事やウイルス性肝疾患に対する認識が低い事が考えられた。そこで2021年度は、協会けんぽ被保険者に絞り、受検へつなげる活動を行った。【対象及び方法】当健診センターでは年間約14000人が受診する中、約30%が協会けんぽ加入者、近隣企業約30%、自治体関連約30%となっている。協会けんぽ被保険者で未だ肝炎ウイルス検査を受検していない方にしぼり協会けんぽ既存のチラシと当院オリジナルチラシを同封する。また、待合のモニターにて啓発動画を流す。健診センター入口や更衣室等に厚労省ポスターを掲示する。【結果及び考察】2019年度協会けんぽ受診者4127人中受検者30人(0.7%)。2020年度協会けんぽ受診者3685人中受検者28人(0.8%)。2021年度協会けんぽ受診者4149人中受検者355人(8.6%)。既に病院や過去に実施済は91人(病院で実施は含まない)、中には病院受診時(救急外来・入院時・手術時等)に受検した事を認識なく申込みもある。未受検者は3679人(88.6%)。2019年先行発表の中で「肝炎検査受検率が1%に満たない健診医療機関が51%あったが、チラシを使用していなかった。」とあり、当院でも協会けんぽ対象者に既存のチラシを事前配布していなかった。また企業や自治体関連の40歳以上では肝炎ウイルス検査が主コースに入っているが、協会けんぽの場合、主コースが生活習慣病予防健診の為、肝炎ウイルス検査はオプションで受検していただく必要がある。協会けんぽ対象者に受診勧奨チラシを同封し、更に当院作成の肝炎ウイルス検査啓発チラシを同封した事で肝炎ウイルス検査の重要性を啓発でき、また、補助によって安く受検でき、受検率UPにつながったと考える。また、2019年先行発表の中で「肝炎ウイルス検査チラシのデザインを変更し受検率10%を目標に活動した」報告をうけて、当健診センターの受検率を検証できた。【今後の課題】法定健診や特定健診では受検されていない。また、厚労省から「保育の場においての感染防止ガイドライン」で、ウイルス性肝炎について提示されていても検査に至らず。消防庁ではB型肝炎ウイルスは啓発されワクチンも接種するがC型肝炎ウイルス検査はされていない現状がある。その為、行政や職域への理解を求め介入が必要。肝炎ウイルス検査受検の必要性を職域・学校・市民講座等で啓発が必要。【結語】健診受診者への啓発・介入次第で、受検率を上げることが可能で、その為には職域への介入と積極的な啓発活動が不可欠。SP2-P-23健診センターにおける職域等も含めた肝炎ウイルス検査受検への取り組み江川美穂(えがわ みほ)1,畑千尋1,藤本昌雄2,長谷川浩司31市立伊勢総合病院健診センター,2市立伊勢総合病院,3三重大学医学部付属病院肝炎相談支援センター054