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概要

MEDICAL STAFF SESSION

【目的】B型肝炎ウイルス(HBV)既往感染例に対する免疫抑制剤、抗がん剤などの使用が原因のde novo肝炎の予後は極めて不良であり、当院では電子カルテ上で抗がん剤や免疫抑制剤を処方する際にHBs抗原検査の院内実施が必須となっている。しかしHBs抗体、HBc抗体検査が実施されていない免疫抑制剤、抗がん剤使用患者も多く、HBV関連検査や消化器内科へのコンサルトを促すアラートの表示を2016年に導入した。導入後にHBV陽性者の消化器内科へのコンサルト数は増加したが、その一方でアラートを無視するケースが少なからず存在した。我々はその対策として2020年より肝炎医療コーディネーターによるアラート突破症例に対するメッセージ送信を行っており、今回その効果についてアラートシステム導入のみの効果と併せて検討した。【方法】2020年5月から2021年9月にHBV再活性化予防のためのアラートが表示された症例を電子カルテより毎月2回抽出し、使用薬剤、HBV関連の検査状況を確認した。HBs抗原陽性、HBs抗体、HBc抗体検査未実施、またHBs抗体またはHBc抗体が陽性であるがHBV-DNA検査未実施の症例をアラート突破症例(一部未実施も含む)とし、I群HBs抗原陽性例、II群HBs抗原陰性かつHBs抗体・HBc抗体未測定またはHBs抗体またはHBc抗体陽性例、III群HBs抗原陰性かつHBs抗体またはHBc抗体陽性でHBV-DNA未測定例に分けて検討した。電子カルテのダイレクトメッセージ機能(以下DM)を用い、検査の実施や陽性時のコンサルトを担当医に促した。これらの症例抽出、DM送信は肝炎医療コーディネーターが行った。【結果】対象期間にアラート突破症例数は全部で3067件で、その内訳はI群:71件、II群:1591件、III群:1405件であった。そのうちDMを送った症例は279件であり、I群:6件、II群:198件、III群:75件であった。DMによって必要な検査が全て施行された数は126件で、I群:6件、II群:102件、III群:18件であった。DMによって核酸アナログ製剤開始された症例は1例認めた。複数回DMを送っても対応がなされない症例も一部認められた。【考察】抗がん剤と比べ、免疫抑制剤使用症例では、HBs抗体、HBc抗体などの検査が実施されない傾向にあった。一方でアラート突破症例に対するDMは、精密検査、受療につながる可能性があったと思われる。DM送信でも対応されていない症例については、再度アンケート調査等で原因を検討し更なるアプローチ方法を再度検討する必要がある。SP2-P-44肝炎医療コーディネーターを中心としたHBV再活性化予防の当院における取組み野村真希(のむら まき)1,渡邊丈久2,吉丸洋子1,2,瀬戸山博子1,2,田中靖人1,21熊本大学病院肝疾患センター,2熊本大学病院消化器内科096