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活動事例

肝CoインタビューVo.6

マスター肝Co

「寄り添い、広げる人」
肝炎医療コーディネーター・
相談員 立木佐知子さんの軌跡
─ 電話の向こうの不安に向き合い、
仲間と啓発の輪を広げるまで─

相談員 立木佐知子さん

誇り ─ 「ありがとう」の言葉が、続ける力になる

「数年後に更新手続きで来られた患者さんから、『あなたのおかげで申請しようと思えた。本当にありがとう』と言っていただけた時、肝炎医療コーディネーターとしての誇りを感じました」。相談員として、患者さんやご家族だけでなく、他院の医療従事者や肝Coからの相談にも対応する立木佐知子さん。活動は多岐にわたるが、その根底にあるのは、感染症ゆえに言葉にできない不安に深く寄り添い、「次の一歩」へとつなぐ姿勢だ。

はじまり ─ 電話が鳴るたび、緊張で体がこわばった

2016年、前任の相談員が退職したことをきっかけに配属が決まり、立木さんの相談員としての業務が始まった。同年、肝Co養成研修会を受講しながら講師も務めるという慌ただしいスタートだった。 病棟での経験はあったものの、電話相談は未知の世界だった。相手の顔も見えず、背景も分からない。「電話が鳴るたびに、ものすごく緊張していました」と振り返る。
院内に業務を熟知している人も少なく、前任者に連絡を取りながら事業を計画・実施する手探りの日々。就任当初は休暇時に代わって対応してくれる人もおらず、体制づくりにも深く苦慮したという。

手探りの現場 ─ チェックリストで支え、面談後は反省を重ねた

対応を整えるため、立木さんはまず制度を必死に学び、説明内容のチェックリストを作成した。面談相手は高齢の方も多く、制度だけでなく生活上の注意点や、治療終了後の定期受診の必要性など伝えることは山ほどある。面談のたびに「あの伝え方で、わかっていただけたかな」と自問自答と反省を繰り返した。
そんな中、忘れられない出来事があった。血液検査でB型肝炎の既往感染が分かり、説明を聞きに来た患者さんがこう話してくれた。「昔、B型肝炎と言われたことがあるけど、家族にも友人にも話したことがない。自分の状態が分からず不安だった。気持ちを聞いてもらって、少し楽になりました」。この言葉に触れ、感染症であるがゆえの孤独な悩みにしっかりと耳を傾け、心に寄り添うことの大切さを痛感した。

つながり ─ 一緒に動ける仲間が増えると、活動は前に進む

配属後は新規の取り組みも多く「どう進めるか」で一人迷うことも多かった。そんな立木さんを支えたのは、地域のネットワークだった。中国・四国地区の拠点病院の肝Co情報交流会に参加し、他施設の仲間に相談しながら活動のヒントを得ていった。
大きな転機となったのは、2017年の肝Coスキルアップ研修会だ。参加者同士のグループワークで顔見知りができ、「何か一緒に活動したい」と意気投合し、啓発イベントを企画・開催した。「自施設で自分だけでは動きにくいけれど、活動の場があれば協力したいと思ってくれている人がたくさんいました」。このイベントを起点に連携の輪が広がり、日常業務でも他部署や多職種、そして行政担当者へも気軽に相談できる安心のネットワークが築かれていった。

今とこれから ─ 相談から啓発、拾い上げまで。「守る」を広げる

現在の活動は、多方面からの相談対応にとどまらず、研修会や市民公開講座の企画、院内の陽性者拾い上げ、さらには肝臓移植のコーディネートにまで広がっている。「今後は、一緒に活動できる仲間をさらに増やし、啓発イベントを継続していきたいです」と、立木さんの視線はしっかりと地域全体に向けられている。

若い世代へのメッセージ

最初は戸惑うこともあると思います。でも、あなたの一歩が患者さんの未来を守ることにつながるかもしれません。 何も活動できていないと感じている方、啓発ポスターを貼ることや肝Coバッジをつけることから始めてみませんか?

前任者の不在と電話への緊張から始まった歩みは、患者さんの「誰にも言えない不安」を深く受け止めることで、確かな支援へと変わっていった。
仲間を巻き込み、地域へ啓発の輪を広げる立木さんの温かな活動は、これからも多くの人々に「次の一歩」を踏み出す勇気を与え続けるだろう。

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