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活動事例

肝CoインタビューVo.7

マスター肝Co

「“食事”の先にある本音をつなぐ人」
肝炎医療コーディネーター・
管理栄養士・堀口さやかさんの軌跡
─ 何をしていいかわからない時期を越え、
チームで支える存在へ─

管理栄養士 堀口さやかさん

誇り ─ “誇り”は、これから育っていく

「正直まだありません」。堀口さやかさんはそう言って少しだけ微笑む。けれど、現場には確かな手応えがある。患者さんが「食事の大切さがわかった」と前を向いた瞬間、他職種への橋渡しがスムーズにできた瞬間、検査や受検について“自分の言葉”が生まれた瞬間。その一つひとつの小さな実感が、肝Coとしての軌跡を静かに形づくっている。

はじまり ─「肝Coって何だろう?」

肝臓病教室の担当メンバーは基本的に肝Coになるという流れから、堀口さんも位置づけがよく分からないまま研修を受講した。当初は「何をしたらいいのか」と戸惑い、フォローアップ研修では「名前だけが先行している」と自覚したこともあったという。しかし、上司も一緒に教室メンバーとして動き、病院として開催する体制があったため、孤立感を感じずに済んだことは、堀口さんの最初の壁を支える大きな土台となった。

手探りの現場 ─ 否定せず尊重する。「指示」ではない食事指導へ

情報もマニュアルも整っていない中、肝臓病教室は「無いなら、作りながら整える」というスタンスで、他職種と予演会を重ねて微調整を繰り返した。初めての患者対応は緊張の連続だった。
ある時、浮腫(むくみ)のある患者から「どうせ塩分って言うんでしょ」と頭ごなしに言われた。しかし、肝硬変の浮腫は塩分制限だけで語れるものではない。病状や合併症によって食事のポイントは変わることを丁寧に説明したところ、「食事の大切さがわかった」と言われ、ほっと胸を撫で下ろした。患者さんなりに勉強し努力していることを否定せず、尊重して話す。食事指導を「指示」にしないという姿勢は、この経験から大切にしている。

つながり ─ チームの強みが、支援の幅を広げる

病棟担当になり、肝臓病教室やイベントを通じて普段関わらないスタッフとのコミュニケーションが増えた。他の医療機関の教室見学に看護師と同行したことも、意思疎通を図る上で大きかったという。
活動の中で堀口さんが大切だと感じているのは、患者さんの食事に対する思いや不安を「傾聴」し、その内容を他職種と「共有」してサポートにつなげることだ。患者さんは食事以外の不安も抱えている。何気ない会話から拾い上げた本音をチームに渡すことで、各スタッフの強みを活かしたスムーズな連携が生まれることを実感していった。

今と未来 ─ 「栄養指導」の枠を超え、日々の会話からともに整える

現在は消化器・肝臓内科病棟の専従管理栄養士として、筋肉が適正化の目安となるサルコペニア評価を行いながら食事療法を“生活の言葉”に変えて支援している。以前は「栄養指導」の場が主な接点だったが、今は日々の会話そのものが増えた。患者から「外来での継続した栄養指導は受けられないんだね」と名残惜しまれるほど、「教える」から「ともに整える」関係へと変化し、支援の厚みも増している。

若い世代へのメッセージ

各職種の専門性をつなぐ役割も肝Coにはあります。患者さんの本音を他職種へつなぐことが、より良い療養や医療の質向上につながります。
『何をしていいか分からない』と感じたら、まずは“目の前の患者さんの言葉”を丁寧に拾い、チームに渡すところから始めてみてください。

「何をしていいか分からない」という戸惑いから始まった歩みは、患者さんの努力を尊重する対話を通じて、食事の先にある「本音」を引き出す力へと変わった。
堀口さんが拾い上げ、チームへとつなぐその言葉たちは、今日も患者さんのより良い療養生活を温かく支え続けている。

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