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活動事例

肝CoインタビューVo.8

マスター肝Co

「ひらく人」
肝炎医療コーディネーター・
肝疾患相談員 會田美恵子さんの軌跡
─ USBたったひとつの引き継ぎから、
院内外の連携を育てる存在へ─

相談員 會田美恵子さん

誇り ─「あなたなら話せる」と信頼された瞬間

「対応した患者さんに信頼してもらえたと感じたとき、肝炎医療コーディネーターとしての誇りを実感します」。肝疾患相談員の窓口に届くのは、病気の相談だけではない。不安、生活、経済、家族、そして時に“口にしづらい話題”まで。會田美恵子さんはそのすべてを受け止め、必要な支援へ“整理してつなぐ”役割を積み上げてきた。

はじまり ─USBたったひとつの引き継ぎと「孤立」からのスタート

肝炎医療コーディネーターに関わったきっかけは、「何だろう?」という純粋な興味だった。しかし、スタートは想像以上に心細いものだった。
相談員は自分一人で、前任者からの申し送りはUSBメモリがひとつだけ。「何をすればいいか分からない。医療知識も助成制度も理解不足。活動が正しいのか相談できる人もいない」と不安ばかりを抱えていた。院内や上司にも活動内容が十分に理解されておらず、協力体制はほとんどない。強い孤立感の中で、それでも窓口を止めるわけにはいかず、“自分で整える”しかなかった。

手探りの現場 ─ 相談は医学情報だけでは完結しない

初めて患者と向き合ったとき、會田さんは思い知らされた。肝疾患の相談は、医学情報だけでは完結しない。精神面、経済面、家族の葛藤。そして感染経路の相談では、時に性に係ることなど言葉にしづらい「リアルすぎる」内容も含まれていた。C型肝炎患者の治療支援や、肝がん末期患者とその家族の命の時間に触れる関わりの中で、単なる情報不足だけでなく“相談の深さ”を痛感したという。
そこで気づいたのは「肝疾患相談員としての知識」と同時に「組織内外との連携」という、支援を成立させる土台作りの大切さだった。

つながり ─ 「学び」が協力を呼び、孤立が薄れていく

一人で抱え込まないための導線づくりが始まった。院内では医師と陽性者への精査の必要性を共有して受診勧奨への流れを作り、行政とは講習会や連絡協議会の場で情報を持ち寄った。
大きな転機となったのは、県のステップアップ講習会で全国で活躍する肝Coから直接支援を受けたことだ。やがて、自ら肝Co主導型の講習会を開催できるようになり、県内の専門医療機関とも連携が取れるようになっていった。「自分たちの活動に意味がある」と実感したのは、院内で受検啓発が回り始め、肝Co主導型の講習会が形になったときだ。チームで動くことで肝Coの認知が進み、医師やコメディカルの協力を得られるようになり、かつての孤立感は確実に軽減していった。

今と未来 ─ 「人と仕組み」で次の担い手へ

現在は、検査受検や陽性者への受診啓発、治療のフォローアップ支援、院内外での講習会開催などに奔走している。そしてこれから最も力を入れたいと語るのが、「肝疾患相談員の後進育成」と「肝Co活動の周知・啓発」だ。

若い世代へのメッセージ

USBメモリひとつの引き継ぎから始まった仕事を、次は『人と仕組み』で引き継げる形にしていきたい。一人で悩まず、周囲を巻き込みながら、一緒に活動の輪を広げていきましょう。

USBメモリひとつと深い孤立感から始まった歩みは、患者さんの言葉にならない悩みに寄り添い、多職種と連携する中で、確かな「支援の仕組み」へと育っていった。
會田さんが切り拓いたその道は、次に続く担い手たちを明るく照らし、力強いバトンとなって手渡されようとしている。

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